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子供の頃の頭蓋骨

小学生の時に読んだ歴史学習マンガの一場面で忘れられないものがあります。

たしか竹千代が死んだとみせかける、という場面で、家来が「死んだ証拠に敵に送る」と言って、頭蓋骨を取り出します。さらに「念のため」と言って「これは竹千代様が5歳の時の頭蓋骨、こちらは3歳の時の頭蓋骨…」といって次々に頭蓋骨を取り出す、というギャグシーンでした。

これを読んだ時に、一瞬「…そういえば私の5歳の時の頭蓋骨はどこにあるのかな」と思い、すぐに「ああ、そうか、そんなものはないんだな」と気づいたのですが、なんだかギクリとして忘れられなくなりました。

紙芝居のページに時差があると気づいた時、この頭蓋骨の話を思い出しました。読み手が読んでいる文章は、観客がみている絵の一枚前の絵の裏に書いてあります。つまりページの表と裏に1ページ分の時差があるのですが、薄い紙の表裏にそんなズレがあるかと思うとゾッとします。しかも一枚一枚がズレることでピッタリくっついていて、最後の一枚の裏にははじまりの言葉が書かれているので、永遠にグルグルしているかと思うと何だか恐ろしいです。

どちらも「自分がズレる」ようで怖い、と思った体験です。

もう一つ、小学生の時に、童話版「西遊記」を読んだ時のこと。見開きの挿絵入りの「孫悟空が毛をむしって息をふきかけて大量の分身を出す」という場面でも、「自分がズレる」という感覚になりました。ただ、同時に「あ、ズレても大丈夫なんだ」となぜかホッとしたのですが、なぜだかはよくわかりません。
子供の頃の頭蓋骨_b0221185_171233.jpg

by mag-akino | 2011-11-18 01:15


アーティスト近藤聡乃ニューヨーク滞在制作記


by mag-akino

近藤聡乃 / KONDOH Akino

2012年5月までの文章が本になりました。

不思議というには地味な話』(ナナロク社)

57編、すべてに描き下ろし挿画つき。26ぺージの描き下ろし漫画「もともこもみもふたも」も収録。



2000年マンガ「小林加代子」で第2回アックス新人賞奨励賞(青林工藝舎)を受賞し、2002年アニメーション「電車かもしれない」で知久寿焼(音楽グループ、元たま)の曲に合わせてリズミカルに踊る少女の作品で NHKデジタルスタジアム、アニメーション部門年間グランプリを獲得。シャープペンを使って繊細なタッチで描くドローイングに加え、最近 では油彩にも着手している。2008年、2冊目のマンガ単行本「いつものはなし」(青林 工藝舎)を出版。

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