頭を強打した時のこと

子供の時、公園で一人で遊んでいたら、頭を強く打ってしまったことがあります。ブランコの周りの金属パイプの冊の上を綱渡りのように歩いていたら、バランスを崩して下の花壇のコンクリの枠に後頭部を打ってしまいました。

痛いというより、頭からものすごく大きな音がしたことに驚き、「これはまずい」「死ぬかも」と思いました。仰向けに寝転んで呆然としていたら、空に飛行機が飛んでいて、「私だけこんなところで一人で死にそうだ」と、寂しくなりました。

鈴木翁二さんの「じごく」というマンガの冒頭に、飛行機が空を飛んでいるシーンがあります。頭を強打した時に見たはずの飛行機を思い出そうとすると、この「じごく」の1コマが浮かんできます。強打した音の方は割と具体的に思い出せるのですが、実際の光景は「じごく」の1コマに置き換わってしまい、思い出すことができません。

鈴木翁二さんのマンガを読むと、子供の時のふとした寂しさを思い出してしまいそうになるのが不思議です。飛行機のコマがきっかけとなって、マンガを読むと寂しさ感じてしまうのか、頭を打った時の寂しさが、マンガの寂しさと重なって、飛行機の光景が上書きされてしまったのか、何か心の中に踏み込まれるようなな怖さも感じます。特に「思い出物語」という作品には、私には死んだ妹なんかいないのにそんなことがあったような、自分が死んだ妹だったことを思い出してしまいそうな気持ちにさせられます。

さて、頭を打った後。しばらくぼんやり寝転がっていましたが、周りに全くひとけがなく、誰も駆け寄って来てくれたりしませんでした。ゆっくり起き上がり、立ち上がって歩いてみたら思ったより大丈夫そうだったので、ひとりで家に帰りました。
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by mag-akino | 2011-12-01 12:27


アーティスト近藤聡乃ニューヨーク滞在制作記


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近藤聡乃 / KONDOH Akino

2012年5月までの文章が本になりました。

不思議というには地味な話』(ナナロク社)

57編、すべてに描き下ろし挿画つき。26ぺージの描き下ろし漫画「もともこもみもふたも」も収録。



2000年マンガ「小林加代子」で第2回アックス新人賞奨励賞(青林工藝舎)を受賞し、2002年アニメーション「電車かもしれない」で知久寿焼(音楽グループ、元たま)の曲に合わせてリズミカルに踊る少女の作品で NHKデジタルスタジアム、アニメーション部門年間グランプリを獲得。シャープペンを使って繊細なタッチで描くドローイングに加え、最近 では油彩にも着手している。2008年、2冊目のマンガ単行本「いつものはなし」(青林 工藝舎)を出版。

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