真間川の豆腐

小学生の時に同級生が「真間川を豆腐が流れているのをみた」と言いました。真間川というのは実家の近所を流れている汚い川です。今でも汚いですが、子供の頃はもっと汚くて臭い川でした。その黒い水の中を白い豆腐がソヨソヨ流れている様子を想像するとあまりにも可哀想です。この一言の衝撃が大きく、頭の中が「真間川の豆腐」で一杯になったせいか、その他の情報は全くなしです。忘れてしまったのか、それ以上きかなかったのかも不明です。もしかしたら豆腐はパックのまま流れていたのかもしれません。さらにもしかしたら、この話自体ウソだったかもしれません。

大学生の時、総武線の窓から下を眺めていたら、市川と小岩の間の江戸川で水死体をみてしまいました。既に川辺に引き上げられていて、警官らしき人が2人と発見者と思われる人が2人、死体の横でボ〜ッとしていました。死体を前にすると人は所在なげにボンヤリするらしい、というのは、飛び降り死体を見た時にも感じたことです。救急車が来るまでの間、特にやることがないのでみんなで黙り込んでボンヤリするのです。朝の電車で思いがけず死体を目撃した私は気持ちを持て余してしまい、思わず隣りに立っていたサラリーマンに「みました?」と話しかけたら、完全に無視されました。あの人も絶対にみていたはずです。

水死体の方は遠目だったので細部はわかりませんでしたが、どちらもうつぶせの女性だったので、飛び降りた女性がそのままの服装で川辺に寝ている姿で思い出されます。さらにこの画像と「真間川の豆腐」がまざってしまい、女性が真間川を流れていくイメージが、やけに具体的です。豆腐のようにつややかな女の白いふくらはぎ。

「真間川を豆腐が流れているのをみた」というのが、全くのウソだったのかも…と考えると心底ガッカリです。でも実際のところ、ウソか本当かはどちらでも良いのだと思います。
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by mag-akino | 2011-12-15 23:19


アーティスト近藤聡乃ニューヨーク滞在制作記


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近藤聡乃 / KONDOH Akino

2012年5月までの文章が本になりました。

不思議というには地味な話』(ナナロク社)

57編、すべてに描き下ろし挿画つき。26ぺージの描き下ろし漫画「もともこもみもふたも」も収録。



2000年マンガ「小林加代子」で第2回アックス新人賞奨励賞(青林工藝舎)を受賞し、2002年アニメーション「電車かもしれない」で知久寿焼(音楽グループ、元たま)の曲に合わせてリズミカルに踊る少女の作品で NHKデジタルスタジアム、アニメーション部門年間グランプリを獲得。シャープペンを使って繊細なタッチで描くドローイングに加え、最近 では油彩にも着手している。2008年、2冊目のマンガ単行本「いつものはなし」(青林 工藝舎)を出版。

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