4月のあの匂い

4月の草木の新芽が出る頃に、道を歩いていると臭ってくるあの匂いが、私は好きです。高校の時の同級生があの匂いが大嫌いで、春先は通学時に吐きそうになると言って毎朝グッタリしていました。たしかにちょっと臭いような独特の匂いで、嫌いな人がいるのもわかります。

暖かくなってくると気が緩んで、特になんということもないのにウキウキすることがあります。そのせいか、4月頃になると道端で1人笑いする人や、1人笑いを通り越して針が振り切れる人も出て来ますが、あの匂いが何か作用しているのではないかと思います。(と、家族に言ったら「今更何を」という感じに受け流されたのですが、これは一般論なんでしょうか?)

住み始めてわかったことですが、ニューヨークには一人笑いをする人がほとんどいません。私はすれ違いざまに人の顔をジロジロみる悪い癖があるのでよくわかるのですが、日本には「歩きながら1人で笑っている人」が本当にたくさんいます。帰国時にそういう人をみつけると「おお、日本だ」と感じるほどです。私もたまに道端で思い出し笑いしそうになっては、「いけない、ここは日本ではなかった」と我慢しています。日本人だったら一人笑いくらい特に気もとめませんが、ニューヨーカーはたぶん見逃してくれないと思います。

ニューヨークでもあの匂いを嗅いだことはあります。あの匂いには「ものすごい生命エネルギー」が含まれていて、人間が通常もっているエネルギーにそれが加算されて、なんだかウキウキしたり、許容量を超えて笑いだしたりするのだと思います。心の脇が甘くなる4月は気をつけないと、あの匂いにつけ込まれてしまいます。どうやら日本人はあの匂いに弱い、というか同調しやすい人種のようなので、特に気をつけて、4月に笑い出しそうになっても噛み殺した方がいいと思います。
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by mag-akino | 2012-03-02 09:16


アーティスト近藤聡乃ニューヨーク滞在制作記


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近藤聡乃 / KONDOH Akino

2012年5月までの文章が本になりました。

不思議というには地味な話』(ナナロク社)

57編、すべてに描き下ろし挿画つき。26ぺージの描き下ろし漫画「もともこもみもふたも」も収録。



2000年マンガ「小林加代子」で第2回アックス新人賞奨励賞(青林工藝舎)を受賞し、2002年アニメーション「電車かもしれない」で知久寿焼(音楽グループ、元たま)の曲に合わせてリズミカルに踊る少女の作品で NHKデジタルスタジアム、アニメーション部門年間グランプリを獲得。シャープペンを使って繊細なタッチで描くドローイングに加え、最近 では油彩にも着手している。2008年、2冊目のマンガ単行本「いつものはなし」(青林 工藝舎)を出版。

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