水漏れを止めた少年

小学生の頃は毎月届く学研が楽しみでした。次の号が届くまでの一ヶ月、何度も読み返すので内容をほとんど覚えてしまい、本当に勉強になったな、というか学研の知識で今までどうにかこうにかやって来たような気さえします…

その学研に載っていた話で特に気に入って繰り返し読んだのが、「堤防の水漏れを止めた少年の話」です。どこかヨーロッパの国の少年がある日、夕方家へ帰る途中に堤防の脇を通りかかると、小さなヒビから水がチョロチョロと漏れているのをみつけます。あ、と思って指をつっこんだら止まったものの、指を抜く訳にいかずに困っているうちに、穴が少しずつ少しずつ広がってきて、指を二本、三本、手を全部、と差し入れていきます。二の腕まで突っ込んでグッタリしているところを、少年の帰りが遅いのを心配した母親と村人に発見されて、「村を浸水から救った少年」として褒め讃えられる、という話でした。

この「腕を堤防に突っ込んでグッタリする少年」の挿絵を、「なんかいい」と思ってみていたのですが、これは今思うと完全に「萌え」という気持ちだったと思います。今でも、水につかって眠っている、うっとりしている、という光景には何かグっとくるものを感じますが、この堤防の話がそれに反応した最初の体験でした。

水につかって死んでるような生きてるような、といえばジョン・エヴァレット・ミレイの「オフィーリア」です。あの絵を観るとやはりグッと来ますが、国際的、歴史的に大勢のファンがいる名画なので、私だけでなく人間には「水につかってうっとり(ぐったり)しているものを見ると萌える」という習性があるようです。さて、それはどうしてか?と問いかけると「それは胎児の頃の羊水の記憶が…」という説が必ず出てきますが、どうも納得いきません。何かもっと、はっとして心を鷲掴みにされるような萌える理由があると思います。
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by mag-akino | 2012-04-12 08:20


アーティスト近藤聡乃ニューヨーク滞在制作記


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近藤聡乃 / KONDOH Akino

2012年5月までの文章が本になりました。

不思議というには地味な話』(ナナロク社)

57編、すべてに描き下ろし挿画つき。26ぺージの描き下ろし漫画「もともこもみもふたも」も収録。



2000年マンガ「小林加代子」で第2回アックス新人賞奨励賞(青林工藝舎)を受賞し、2002年アニメーション「電車かもしれない」で知久寿焼(音楽グループ、元たま)の曲に合わせてリズミカルに踊る少女の作品で NHKデジタルスタジアム、アニメーション部門年間グランプリを獲得。シャープペンを使って繊細なタッチで描くドローイングに加え、最近 では油彩にも着手している。2008年、2冊目のマンガ単行本「いつものはなし」(青林 工藝舎)を出版。

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