1度しか使ったことのないおまじない

1年程前に、よく効くおまじないの話を書いたが(http://akinomag.exblog.jp/15763821/)、もう一つの効果てき面だったおまじないについて。

私がはじめて金縛りを体験したのは中学1年の時である。夜中ふと目が覚めたら、体が動かなかった。「これが、あの、金縛りか!」と思い、「もし目を開けたら何かおかしなものを見てしまうかもしれない」と判断し、目をしっかり閉じたまま助けを呼ぼうとしたら、声がでなかった。結局、しばらくジタバタしたら足の方から動きはじめたのだが、とにかく怖かった。翌朝学校で後ろの席のSさんに話したところ、彼女が教えてくれたのが、「お姉ちゃんからきいた」という金縛りを解くおまじないである。

金縛りにあったら、下唇を噛み締めて、頭の中に「大」と思い浮かべる。

意味がさっぱりわからないところが魅力的で、次の機会には絶対に試してみたいと思った。そして数ヶ月後、二度目の金縛りにあった。

下唇を噛み締めて、頭の中に文字を思い浮かべて「大!」と念じた瞬間、異変が起こった。噛み締めた下唇が細かく震えはじめ、どんどん震えが大きく広がっていき、顎の痙攣で歯がガチガチと音を立て、顔の皮膚全体が大きく波打って、信じられないほどの高速でマブタが開閉した。

それ以来このおまじないは1度も試していない。恐怖を通り越して完全なパニックに陥ったが、一応金縛りは解けたのだから、効果はあったのだと思う。

先日、アメリカ人の友人と話していたら、ふと、このことを思い出した。「金縛り」という単語を知らないので、「体がまるで金属で縛られたようになり動けない」と直訳して説明したら、ようやく伝わり、友人は金縛りの状態を「フローズン(凍った)」と表現した。よくよく考えるとあの感じは「金属で縛られた」でも「フローズン」でもない気がする。「体の中心に強力な磁石があって手足がくっついて離れない」という感じだな、などと考えていたら、「大」について話し忘れてしまった。肝心なことはなかなか海を越えないものである。
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by mag-akino | 2012-07-31 00:46


アーティスト近藤聡乃ニューヨーク滞在制作記


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近藤聡乃 / KONDOH Akino

2012年5月までの文章が本になりました。

不思議というには地味な話』(ナナロク社)

57編、すべてに描き下ろし挿画つき。26ぺージの描き下ろし漫画「もともこもみもふたも」も収録。



2000年マンガ「小林加代子」で第2回アックス新人賞奨励賞(青林工藝舎)を受賞し、2002年アニメーション「電車かもしれない」で知久寿焼(音楽グループ、元たま)の曲に合わせてリズミカルに踊る少女の作品で NHKデジタルスタジアム、アニメーション部門年間グランプリを獲得。シャープペンを使って繊細なタッチで描くドローイングに加え、最近 では油彩にも着手している。2008年、2冊目のマンガ単行本「いつものはなし」(青林 工藝舎)を出版。

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