四葉のクローバー

大学の卒業制作で「てんとう虫のおとむらい」というアニメーションを作ったら大失敗した。制作中もずっと「これはまずいこれはまずい」と思っていたのだが結局軌道修正はできずに、未完成のまま提出して卒業した。絵コンテがあまかったのだ。

それからずっと気にかかっていたので、絵コンテから練り直して、2006年にようやく完成させた。卒業してから3年もたっており、完成した時は心底ホッとした。どちらも同じタイトルなのでまぎらわしいが、2006年に完成した方を便宜上「完成版てんとう虫のおとむらい」と呼んでいる。卒業制作の方は「卒業制作版てんとう虫」とか適当に呼んでいるが、観かえすと、あの時の気持ちを思い出して苦しくなるのでしばらく観ていない。

(ちなみに…2006年の完成版はダイジェストをYouTubeにアップしてある。卒業制作版の方もどなたかが勝手にアップしていたので、どこかで観られると思う。)

もともとアニメーションの前にマンガ版の「てんとう虫のおとむらい」を描いており、卒業制作版はマンガに沿って作った。完成版の方は、絵コンテから作り直したため内容が大きくずれたのだが、一番大きな違いは「四葉のクローバー」が出てこなくなったことだ。卒業制作版の方では四葉のクローバーが大量に、しかも意味ありげにどんどん出てくるのである。

さて、この「四葉のクローバー」だが、そもそもこの「四葉のクローバー」のイメージがどこから出て来たのだか覚えていない。マンガ版の「てんとう虫のおとむらい」を描いた頃のことを全然思い出せないのだ。一体どういう流れであんな話を描いて、わざわざアニメーションにすることしたのだかわからないのだが、もしかすると関係あるかも、という出来事が一つだけある。


小学校低学年の頃、よく自宅マンションの貯水タンクの下にもぐっていた。タンクの下に子供が屈んでやっと入れる程の空間があり、秘密基地のようだったのである。ある日そこで遊んでいたら、タンクと土台の隙間に何かが挟まっていることに気がついた。ギュッと押し込まれており、直接手で触るのは怖かったので、棒を使ってグッと引っ張ると、四葉のクローバー模様のネルシャツがズルズル出て来た。

「四葉のクローバー」と聞いて、私が思い出すのはこれくらいであるから、たぶんこの出来事が何か影響したのだと思う。なぜ貯水槽の下に四葉のクローバーのネルシャツが押し込まれていたのだか全然見当がつかないが、異様に恐ろしくて全力疾走で逃げた。逃げ切ったと思ったが、どうも逃げ切れていなかったようである。何が言いたいのかというと、「アニメーションは絵コンテが大事」ということである。
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by mag-akino | 2012-08-29 09:15


アーティスト近藤聡乃ニューヨーク滞在制作記


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近藤聡乃 / KONDOH Akino

2012年5月までの文章が本になりました。

不思議というには地味な話』(ナナロク社)

57編、すべてに描き下ろし挿画つき。26ぺージの描き下ろし漫画「もともこもみもふたも」も収録。



2000年マンガ「小林加代子」で第2回アックス新人賞奨励賞(青林工藝舎)を受賞し、2002年アニメーション「電車かもしれない」で知久寿焼(音楽グループ、元たま)の曲に合わせてリズミカルに踊る少女の作品で NHKデジタルスタジアム、アニメーション部門年間グランプリを獲得。シャープペンを使って繊細なタッチで描くドローイングに加え、最近 では油彩にも着手している。2008年、2冊目のマンガ単行本「いつものはなし」(青林 工藝舎)を出版。

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