寝つけない夜の暇つぶし

寝つきが良い私にもごくたまに寝つけないことがある。そんな時にやる暇つぶしに、「目を閉じて、頭と足の位置を逆に寝ていると思い込む」というのがある。要は、いつも寝ている布団を上下逆にしてそこに寝ている自分をイメージする、ということなのだが、意外と難しくて意外と簡単。集中すると30秒ぐらいでできる。

ニューヨークの今のアパートに住んで約3年。28年間住んだ日本の実家では、記憶にある限りほぼ同じ位置に寝ていた。そのせいか、「ニューヨークの現在のベッドで上下逆」をイメージするより、「実家で上下逆」をイメージする方が簡単であった。さらに、「ニューヨークのベッドの中で、実家の布団に寝ている自分」も試してみると、「ニューヨークで上下逆」よりむしろ簡単である。実家に寝ていた年月の方が長く、部屋の雰囲気や天井の感じをより理解しているからだと思うが、その場で上下逆になるよりも、距離も時間も越えた布団の中にもぐり込む方が簡単、というのがなんだか不思議である。やってみたことはないが、「ニューヨークのベッドの中で、実家の布団に上下逆に寝ている自分」というのも案外簡単なのかもしれない。

ところで、この暇つぶしを思いついたのは、大学1年の時であった。よい暇つぶしと思ったので、次の日に友達に自慢したところ、彼女は「上下逆どころかグルグル回転もできる」と言っていた。

眠れない夜に彼女のことを思い出して、「上下逆」の後に「そのままグルグル回る」というのも試してみるのだが私にはどうしてもできない。そもそも寝つきがよいので、「上下逆」をやる機会もあまりないのだ。たぶん彼女は日頃から寝つきが悪く、日常的に逆になったりグルグル回るイメージをする機会があったのではないかと思う。そういえば、グルグルの話をきいた時の大学の学食の感じや、彼女の様子を頭では思い出せるのだが、「体ごとその場にいるイメージをする」のはやはりできない。普段から寝ているベッドの中で上下逆になるのが私の体の限界である。イメージに体をついていかせるのは難しい。

体ごとは無理かもしれないけどイメージだけテレポーテーションしたり(ニューヨークにいながら、実家の布団にもぐり込む)、タイムトリップをする(子供の頃の布団にもぐり込む)のは意外と簡単なのかもしれない、などと上下逆になったついでに考えてみるが、どうしてもすぐ眠くなってしまう。
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by mag-akino | 2012-10-15 07:53


アーティスト近藤聡乃ニューヨーク滞在制作記


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近藤聡乃 / KONDOH Akino

2012年5月までの文章が本になりました。

不思議というには地味な話』(ナナロク社)

57編、すべてに描き下ろし挿画つき。26ぺージの描き下ろし漫画「もともこもみもふたも」も収録。



2000年マンガ「小林加代子」で第2回アックス新人賞奨励賞(青林工藝舎)を受賞し、2002年アニメーション「電車かもしれない」で知久寿焼(音楽グループ、元たま)の曲に合わせてリズミカルに踊る少女の作品で NHKデジタルスタジアム、アニメーション部門年間グランプリを獲得。シャープペンを使って繊細なタッチで描くドローイングに加え、最近 では油彩にも着手している。2008年、2冊目のマンガ単行本「いつものはなし」(青林 工藝舎)を出版。

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