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宜保愛子さんについて その二

そういう訳で、私にとって「宜保さんと言えば絵がヘタ」、「絵がヘタと言えば宜保さん」なのだが、ここ数年「絵がヘタ」の代名詞になっているのが、元「うたのおねえさん」こと、はいだしょうこさんである。

たしかに、はいださんもヘタである。あれはたぶん、私がアニメーション「てんとう虫のおとむらい」を千葉県の実家で制作していた頃だった。夕食前に一休みしようと、居間のテレビでなんとはなしに、「おかあさんといっしょ」を観ていた時のこと。突然、おねえさんが描いた番組キャラクター、「スプーの衝撃」は忘れられない。「この人は本気なのか?」と近藤家内で騒然としたが、本気だったようで、その後何度かテレビで観たはいださんの絵はどれもヘタだった。

絵がうまく描けない人には、いくつか共通点がある。
まず、「筆記具の持ち方が悪い」ということ。極端に絵や文字がヘタな人は、変なふうにペンを持っていることが多い。ペンを傾けすぎ、或は紙に対して垂直に使っているので、線がうまく引けないのである。次は「筆圧が強すぎる、弱すぎる」という点。たぶん強弱どちらも手首から先の力が上手く調整できていないのだが、これも線が上手く引けないので絵がヘタになりがちである。はいださんは、「垂直に持ち気味で筆圧が強すぎる」タイプだった。あのスプーは線が太くてギチギチと狂気じみていたので、ペンを垂直に持ち、緊張してガチガチになった手首で描いたのだと思う。それに対して、宜保さんの絵はもっと短いストロークでフワフワした感じの線だった記憶があるから、「斜めに持ち気味で筆圧弱タイプ」だったのかもしれない。

では、「ペンの持ち方を矯正して手首と指を鍛えたら宜保さんは絵がうまくなるのか?」と言われると、そうでもない気がする。

(まだつづく)
by mag-akino | 2013-05-07 12:11


アーティスト近藤聡乃ニューヨーク滞在制作記


by mag-akino

近藤聡乃 / KONDOH Akino

2012年5月までの文章が本になりました。

不思議というには地味な話』(ナナロク社)

57編、すべてに描き下ろし挿画つき。26ぺージの描き下ろし漫画「もともこもみもふたも」も収録。



2000年マンガ「小林加代子」で第2回アックス新人賞奨励賞(青林工藝舎)を受賞し、2002年アニメーション「電車かもしれない」で知久寿焼(音楽グループ、元たま)の曲に合わせてリズミカルに踊る少女の作品で NHKデジタルスタジアム、アニメーション部門年間グランプリを獲得。シャープペンを使って繊細なタッチで描くドローイングに加え、最近 では油彩にも着手している。2008年、2冊目のマンガ単行本「いつものはなし」(青林 工藝舎)を出版。

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