飛んでいったネジの話

夏の間、日差しがまぶしいので安物のサングラスをかけていた。安物のせいかよくネジが外れた。本体と左側のツルの接合部のネジで、とても小さい。二ミリくらいである。

はじめてネジが外れたのは、地下鉄から降りて、ポケットからサングラスを出してかけようとした時である。左側のツルが突然とれたので驚いた。ポケットを探ったら小さいネジが入っていたので、慎重につまみだして、爪の先で回して修理した。

それからも何回か外れた。毎回出先であった。「今度こそネジがなくなったかな」と思い、ポケットや鞄の底を探すと、毎回ちゃんと出てきた。本当に極小なので、毎回なくしたのかと思うのだが、毎回実はあるのである。

先日、帰宅して鞄からサングラスを出したらまたツルが外れていた。鞄の荷物を全部だし、底の隅を探ったらネジがみつかったので、いつものように修理しようとしたら、うっかりネジを落としてしまった。机の上で一度弾んだところまでは見ていたのだが、その先がわからなくなった。

地下鉄の中や、道端で修理する度に、「今ここで落としたら絶対に見つからない」と思って注意していたのである。今回は自宅なので油断した。なんとなく飛んで行った方向を探していみたが、みつからなかった。床の掃除をしてみたが、出てこなかった。家の中には絶対にあるのだが、完全になくしものである。

家の中にあるのはわかっているので、まだなくしたと認められない。以前、マンションの七階からエビが飛んでいった、と思ったら台所から出て来たこともあるので、サングラスはとっておこうと思う。そのうち、思いも寄らないところから出てきそうである。


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by mag-akino | 2014-09-30 07:05


アーティスト近藤聡乃ニューヨーク滞在制作記


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近藤聡乃 / KONDOH Akino

2012年5月までの文章が本になりました。

不思議というには地味な話』(ナナロク社)

57編、すべてに描き下ろし挿画つき。26ぺージの描き下ろし漫画「もともこもみもふたも」も収録。



2000年マンガ「小林加代子」で第2回アックス新人賞奨励賞(青林工藝舎)を受賞し、2002年アニメーション「電車かもしれない」で知久寿焼(音楽グループ、元たま)の曲に合わせてリズミカルに踊る少女の作品で NHKデジタルスタジアム、アニメーション部門年間グランプリを獲得。シャープペンを使って繊細なタッチで描くドローイングに加え、最近 では油彩にも着手している。2008年、2冊目のマンガ単行本「いつものはなし」(青林 工藝舎)を出版。

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